吠える/為平 澪
 
食べても食べても、淋しさが埋まらない。
だから、腕を噛んで、千切って肉を食べて、空腹の内蔵を食んで、
食べ物の匂いを消すために、鼻を千切って、
食べ物が見えないように、次は目をくり貫いて、

食べても食べても、埋まらない淋しさに、
私の残りかすをハイエナがくわえて、晒し者にしたあと、
喋る歯だけ残すから、私はまだ寂しいと言って噛みついてしまう。

淋しさとはそんなものだ。
言葉は泣き続ける。涙が吠える。
そして、私は孤独で他人に噛みつく。
捨てられた野良犬のような目をして、まだ主の言いつけを信じたくて、
がむしゃらに 生きる夢にしがみつく。

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