『鏡』/あおい満月
 
しをかんがえる。
詩をかんがえる。
死をかんがえる。

詩は、
死の鏡
人は死ぬ瞬間に
必ずひとつの詩を残す



ぽとん、
グラスのなかの
水に赤い汁をおとす
汁は水に交わって
音をかなで共鳴を呼ぶ
撹拌して、
飲みほす
グラスを持つ左手が
真っ赤にそまる
この身体も一滴の
おおきな赤い汁になる

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針と糸を使って
布の上に
艶やかな絵を描く
ひとつぶのはなは、
花びらをひらいて
やがて美しい蝶になる
どこまでもこの右手は
針にのって布の海を進んでいく

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