『鏡』/あおい満月
しをかんがえる。
詩をかんがえる。
死をかんがえる。
詩は、
死の鏡
人は死ぬ瞬間に
必ずひとつの詩を残す
*
ぽとん、
グラスのなかの
水に赤い汁をおとす
汁は水に交わって
音をかなで共鳴を呼ぶ
撹拌して、
飲みほす
グラスを持つ左手が
真っ赤にそまる
この身体も一滴の
おおきな赤い汁になる
**
針と糸を使って
布の上に
艶やかな絵を描く
ひとつぶのはなは、
花びらをひらいて
やがて美しい蝶になる
どこまでもこの右手は
針にのって布の海を進んでいく
戻る 編 削 Point(5)