シロザの憂鬱/川瀬杏香
 
私は社会の片隅で、とうの昔に
絶望しているはずなのだが
僅かにまだそこにいたいという
気持ちは残っているのであろう。
呼んでもないのに春は来て、
新芽は生まれる。
泣きはらした艶のない目もとに
粉がふく。
なんとも憂鬱である。

2014/07/11

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