繰り返す歴史の中で/森川美咲
 
「あいつは野心家、我々の敵だ、気を付けろ」と語る人
「気を付けろ」というのに
その人の目には諦めの色が
なみなみと湛えられている

同じものを見て私は
「不器用な愛」ではないかと思う
または
そう信じたいと強く思う

そして私は思い出す
かつて私を敵だと非難したひとの目を
誤解だ!
私の心は叫んでいた

歴史は繰り返す
さまざまな愛と誤解を孕みながら
怒りも諦めも悲しみも
また生まれるだろう

それでも
誤解も愛も伝え合わなければ
次には進めない
歴史の針は進めなければ
変えることはおろか
繰り返すことすらできないのだ
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