ナニカ/草野大悟2
 
、死んでおめでとうとかマジックで書かれているみたい」
「なんであの子ら俺に言わないんだ」
「分からないわよ、あたしには」
 優太もしのぶもいじめを受けているそぶりなど全く見せずに毎日登校していた。秋江に言われるまで気づかないなんて、なんと間抜けな父親だ俺は! 野津は自分の迂闊さを責めた。
 自宅に帰った野津は、二階に上がり子ども部屋に声をかけた。
「優太、しのぶ、ちょっといいか」
 ドアが開いた。中に入ると
「なーに?」
 しのぶが訊いた。優太は、机に座ってパソコンのキーボードをたたいていた。
「二人とも、学校でひどいいじめを受けてるそうじゃないか」
「ううん、そんなことないよ
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