嵐の夜に/黒ヱ
 
儚げな風 何を孕んで ここから見ゆるは

眼差しの先 伸ばし 指先の 空を掴む悲しみ

切れ切れの断崖に 鋭利は刻んで 

飛んでいこうとする 高く 高く

「あなたの歌が聞こえる 

 決して あなたの声が奏でる あなたの歌ではないのだけれども

 私のために 自分で歌っている あなたの歌」

首元に 重さもなく絡みつく糸の 案じ思わせる暗闇

手土産の準備はあるが たどり着けない悲しみ

遠い この標もない 折り返しの道
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