ソーダと傘/カマキリ
大事なときはいつも雨降りで
嫌いなものが余計に深くなってしまう
そのうち使うと隠し持っていたけど
水溜りしか突かなくなった水玉の傘あげる
一人分のスペースでは手前しか考えられないし
誰かと一緒にいると、それすら考えない
だからどうしたって話だけど
だからどうしたって話だから
きっとあの雲は局所的に僕を狙うんだ
今日は神社で猫を見た
昨日は駐車場で時計を見た
今日は定食屋で野球を見た
昨日は布団でカーテンを見ていた
君の置いてった手紙は見てなかった
またどうせ
僕は傘もってでかけるんだろう
悲しいことは煮詰まったスープみたいに
歩く先々で出されるけど
ひとつひとつ舌鼓を打つ暇はないもんで
頬に付いた水跡の
それくらいの分はソーダでごまかすから
名前なんて君もしらないんだろう、そのソーダで
右側の感触をよく、思い出している
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