クラブマリノス/草野大悟2
 
にとってはそう愉快なことではないはずだ。まして、奥さんや子供までいるのでは尚更だ。
 僕は、次第にイリアに惹かれていった。
 イリアは、マリノスのナンバーワンだ。客からの指名も断トツで多い。別に客に媚びを売るのでもなく、むしろ客の話をじっくり聞くことに徹している。話を聞きながら時折鮮やかに微笑んでみせる。その微笑みに多くの客が魅せられているのが判る。
「ママ、相談があるの」
 店がはねた後、イリアが店内の僕の部屋に来て言った。
「なーに? 深刻な顔して」
 僕は、軽くそう応えた。
「実はね、実は・・・ 私、結婚しようと言われてるの」
「結婚! だ、誰から?」
「ママ、驚かないで聞
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