クラブマリノス/草野大悟2
配ない」と、クラブマリノスのママの仕事を紹介してくれた。
クラブマリノスが、県内に一店舗しかないロシア人ニューハーフの店だと聞かされた時、僕はマリノスのママになることを熱望した。相良君のことを忘れさせてくれる子に出会えるかもしれない、という儚い望みがあった。
面接で、経営者の森さんというお爺さんに志望動機を訊かれ、正直にそう答えた。森さんは、ククク、と小さく笑った。
採用が決まって挨拶に行くと「好きなようにやってごらん。わしは一切口出ししないから」そう言ってクックック、と笑った。
僕みたいなズブの素人に店を任せるなんて、このお爺ちゃん少し痴呆が入っているのかな? と思ったけれどそう
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