川が/……とある蛙
 


空を目指していた筈の
こころの滴が山の頂きにぶつかり、
雨となって地上に降り注ぐ

雨は山肌を通して幾筋もの小さな流れとなり
あるものは地中で濾過され清烈な泉となって地上に現れ
あるものは地表を滑り落ちて渓谷に集まり
川となって流れ出す。

川は岩とぶつかり、若いこころの滴は
巨大で無骨な岩とぶつかり砕けて、また川に戻り
谷を削り、川底を引っ掻いて次第にうねりをます。

川は山の懐に抱かれている間は
縦横無尽に暴れまくる
それでも山はびくともせず
川が暴れるにまかせ、
しかし、山は川をなだめている
川は山の懐に抱かれたまま
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