現場のへその緒(5)/Giton
 
つと青く走つて行つた‥」

「くらっと」は、【下書稿(手入れ後)】のことばでは:

「影のやうに行った」

そして、賢治は:

「騎手はわらひ」

と付け加えます。

どうでしょうか?‥すこしは「天上」に近づいたでしょうか?‥w

以上は、下書き段階、つまり、構想段階の断面と言ってよいと思います。

「鷹」と「からまつ」は、いちおう見えたとしても視界の端をよぎる程度の“実景”です。しかし、作者の《心象》には拡大されて見えています。

「馬車」は、じつは「ラッパ」と軌道を擦る音が聞こえるだけです。
実景が見えないからこそ、

「ここが一ぺんにスヰツツルになる
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