書かれたもの/
nia
ある犬がアルペジオを踏んで海の記憶のなかで眠る
鉄面皮から温かい血が飛び上がり赤く染まった両手を見る
小さな白痴のように路地裏で踊る
手から砂がこぼれ落ちる時を見ている
祈りという言葉がシャボンのように飛び消える
ある犬が線路を跨いで横たわる
右手を上げると左手が上がる
音楽 似非宗教 アルコール 一面の菜の花
山奥のダム 螺旋階段 ショパンチェロソナタ バッハブーレ
信号無視 メディスン インターバル それから
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