不思議な棒/服部 剛
 
あなたの手にする
てるみーという不思議な棒は
香の煙をもくもく漂わせ
熱を地肌に擦(こす)りつつ
体の痛みを和らげます

私の妻が
顔をしかめた腰痛も
止まらなかった咳さえも
あなたの手にするてるみーで
患部を熱した
翌朝からはぴたり、止みました

嘗(かつ)て、スポットライトに照らされた
舞台の上で瞳をらんらんと輝かせ
真実を語った歌声と引き換えに
今、てるみーを手にしたあなたは

遠い昔の異国で
貧しい病の人に手をあてて
じっと瞳をみつめ…癒した
(魂の医師)にも姿を重ね
今日も施(ほどこ)す 

目の前に横たわるひとの体に
神の化身を、見出して  






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