パンディ・バンディと紳士/佐久間 肇
した 縁が赤い、おもちゃみたいなメガネでした
そのメガネは何でも見透かすことができました
そのメガネを使って、とかくわたしは、汚いものばかりを好んで集めていました
白や黄色やピンクやエメラルドグリーンや空色の中に
茶色とグレーが混ざり合った、そのくせ混ざりきっていないものを見つけて
おかしな形のビー玉の数々を、好んで集めていました
すると盗まれたビー玉の数に気づいた黒い衣服の紳士が
わたしの髪を掴んで、引き寄せようとするのです
わたしは集めたビー玉を、真鍮の箱に入れて抱き締めていました
紳士はそれを取り上げようと必死でした
――― 風は再び吹き始めました
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