この大海原で黄昏るわたしを/中山 マキ
あなたはいつも正直過ぎて
間違いのないことを
間違いのないまま言うので
わたしの言葉は丸呑みにされる
逃げ場を失うわたしは戦うこともせず
弟が可愛がっているハムスターみたいに
与えられた世界の中で
忙しく藁を被り
同意も同調も失われた切っ先を
穴蔵へと放り出してしまう
本音も
その手前にある優しさも
この大海原は果てしなくて
正しさも誤りも
見当がつかないまま
飲み込まれてしまいそう
だから安心してほしい
どれだけ愛し合えても
向き合えていないと感じているのは
あなただけじゃない
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