だからあの子はくずみたい/カマキリ
あの子がゴミだって捨てちゃったもろもろを
一ヶ月くらい水車の横に隠しておいて
さざなみがつくる境界線のもっと向こうまで
もういいやってなった一歩手前まできたら
僕んちの吹き抜けの中途半端なとこにある窓に貼り付けんだ
いつからかあの子、それを星座と呼ぶようになって
身振り手振りでしか伝わらない呼吸と声の真ん中くらいの振動を
すこし頷くだけのやり取りを順々に繋いでみるんだ
そしたら、ぜったい指差して笑うから
いろんなとこにビー玉おいてあげるんだ
そんで、解き放たれたくずみたいに
感情と呼ぶにはバカらしい熱が出るみたい
川べりに説き伏せた生き物たちをぜんぶ並ばせて
似たような規則性であの子、
汚れた指で夜空をなぞっているんだ
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