ルオー/soft_machine
がビルに響き、風向きが変わり、あれほど低かった雲はもうどこにも見あたらず、光をあびた鳥が数羽、空の高くを舞っていた。
私は歩きながら注意深くそれらを見ていると、なぜか自分がひどくちっぽけで、みじめなもののように思われて仕方なかった。雑然としているようで、秩序にまもられたこの世界に私の立場はどこにも存在しないような気がした。自分のしていることの意味が、今、私がここにこうしている理由が、夢の中身を熱心に書き綴る傍から、どうしようもなく忘れていってしまいあわてる、あわれな子どものように、むなしい空回りを演じているような気がするのだった。
ほどなく、私はある企業の本社建物の前についた。その二階
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