ルオー/soft_machine
い、金属とインクと鉱物の入り混じった本物が見たい。そう思ったら、もう私はいても立ってもいられず、帰宅そうそう財布をつかんで駅へと向かった。
ざわざわとした音に目をひらくと、いつの間にか席の半分ほどが、会社員らしい紺色や灰色の服を着た人たちで埋まり、みな忙しそうにパンを口に運んでいた。
時計の針は九時をとっくに過ぎていた。いつの間にか眠っていたらしい。慌ただしく出入りする人たちをぼんやり眺めていると、私も空腹になりサンドイッチを頼み、すっかり冷えたコーヒーで流しこみながらむしゃむしゃ食べ、洗面台で顔を洗うと店を出た。
街は数時間前とうって変わって動きにあふれ、行き交う雑踏や車の音がビ
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