夜明けの散歩/服部 剛
 
仕事でヘマをして、凹んで帰った。
さっさと布団を被って、寝た。
早朝にぱっちり目が覚めた。  
おもむろに立ち上がった僕は、外に出た。

西に沈むでっかい満月に
思わず、足を止めた。

東の空は白み始めて
何処かの烏はかあ、と鳴き
背後の山々から無数の小鳥は
さえずり始めた。

坂の上から見渡す町の
無数に連なる屋根々々の下に眠る
それぞれの、夢。
それぞれの、涙。
それぞれの、幸。(さいわい)

(そうか…独りで心の重荷を
 背負っていると思っていたが
 日々を歩んでいるのは
 僕のみではなかったか―― )

街灯等の仄かにともる
まっさら
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