雨音/月形半分子
私、雨に濡れております
髪から雨の雫が
喚くように滴り落ちてくるものですから
ほとほと、いやになりました
雫が喚く
あぁ、うるさい
粉ぐすりは色で選ぶことが肝心ですから
くすり屋へはいつも裏口から訪います
花柘榴が、おなじところにばかり散り落ちるように
ようにようにようにように散り落ちるように
くすり屋のご主人、
客と思うとラジオを消しますから
それがとても気がかりで私はなりません
ときおり、ラジオからも
雨の雫の音がいたしますものですから
あぁ、誰もがずっと
雨の音をきいている
おなじところにばかり散り落ちる花柘榴のように
ようにようにように散り落ちる花柘榴のように
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