ヤマダヒフミの消失/yamadahifumi
 
たが、しかし彼はそのロマンティシズムに従った。彼はそうやって出かけた。彼はそうして旅に出た。そして、彼がこれからどこへ向かうのかは、彼自身にとって未知だった。だが、とにかくも彼は出かけた。そして、彼が元いた所に再び帰ってくる事はなかった。


 …ちなみに、彼がその全てを置いてきたと言ってもいい、ネット上の「ヤマダヒフミ」のアカウントが消失した事に、投稿サイトのメンバーの何人かは気づいた。だが、そのメンバーは、誰もその事について言及したりはしなかった。結局の所、ヤマダヒフミというペンネームの人間が投稿した作品はどれも凡庸なのものであるし、それに彼らにとってヤマダヒフミなどというアカウントは取
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