群青色の乙女/りゅうのあくび
 
布にくるまっていて

きっと
夢の中では
あらゆることが
海水に似た涙で
もはや
満たされていて

海中で紫陽花の咲く
遠い珊瑚礁の
昨日には海岸線だった
浜辺では
孤独な熱帯魚と
一緒にたわむれながら
泳いでいる
喫水線をこえて
教会のある
丘だった場所に
ぽつんと
打ち上げられそうな
まだ幼いクジラを見つけて
海に戻そうと
必死になっている
かもしれない
もしくは
すでに水没した
メガロポリスで
恋心を探す
旅の支度をする最中
だったとしても
不思議ではない
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