群青色の乙女/りゅうのあくび
 
深い霧のように
飛沫をあげる
たくさんの雨粒は
花柄の傘が雨をはじく
音が聴こえるあいだに
仕事帰り乙女の
世界を群青色へと
静かに揺らぎながら
変える

遅めの夕食を終えて
すべてを紺碧の空がうつる
海色に染める
とても大きなひと粒の
涙がシーツへこぼれる
哀しいだけの青はどこまでも深く
夜に群青色をした惑星では
乙女は人魚へと
衣装を着替え始めるのでした
金曜日の雨の真夜中は
ゆらゆらと深く永い

真珠の首輪をつけた
妖精みたいに
横たわる人魚は
冷えた六月の雨に
屋根がぬれて
部屋の空気も
ひんやりとしているので
貝のように
毛布に
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