或る芥川賞作家の受賞会見/yamadahifumi
お前が鋤と鍬で開拓するんだよ、馬鹿野郎。…まあ、そういう事ですね。口は悪いけど。そういう事です」
ーーえー、大変な話になってきましたが、受賞はどなたかに報告されたんでしょうか?。
特にしてません。
ーーそれは何故でしょうか?。
「別に言うべき事でもないと思って。僕には友達も彼女もいませんしね。親は喜んでくれましたよ。電話口で泣いてました。でも、これを言うとお茶の間の常識人から目一杯叩かれるんでしょうけど、うちの親は僕の作品の出来なんてどうでもいいですからね。僕は二十二から小説を書き始めましたが、その頃の作品と今の作品とどっちがいいのか、うちの親には見分け
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