風のうた('ch bin der Wind)/Giton
 
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ぼくはかぜ
きみに見えない
ぼくはかぜ
雲のかなたをひとは見る
木ずれの音をひとはきく
そしてぼくはゆきすぎる
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落葉松の枯れ枝が
春のアリアをうたうとき
紫つつじのひともとが
恋の涙を降らすとき
ぼくはかぜ
丘の向うを吹きぬける
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きみはかぜ
ぼくに見えない
きみはかぜ
雲のかなたをひとは見る
木ずれの音をひとはきく
そしてきみはゆきすぎる
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渡りおくれた鳥たちが
北の嵐に耐えるとき
岩陰のやまあじさいが
愛のしずくにむせぶとき
きみはかぜ
ぼくはかぜ
みなの真上を吹きすぎる
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