恋する自転車/りゅうのあくび
 
約束の
場所へと
続く道で
恋する自転車を
旅のために
丘を越えて
君へとこいでいく

暗がりを
ヘッドランプで
照らして
今という瞬間は
手のひらのなかで
ぎゅっと
握られて
前を臨みながら
ほとりと
舞い落ちるような
嬉しさが
恋の想いを
君へとこいでいく

ふぅ
と深呼吸を
しながら
小さな
紅いつつじの
花が咲く
風景のなかを
君へとこいでいく

車輪は
道を逝く
硬いアスファルトの
地平と
透き通る
夜空との
間をめぐって
恋を焦がしながら
回転をする
君へとこいでいく

ずっと前方へと
恋の軌跡を
轍に残して
ゆったりと
淡い未来を
君へとこいでいく

本当の
恋へと続く
想いだけの地図を
携えて
夜空のなかで
もう道は
そう遠くはない
君へとこいでいく


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