才能のない批評家から、才能ある新人作家への提言/yamadahifumi
も、技術が熟達するにつれ、物語はすべるように進んでいった。彼女の中で、社会に対する抵抗感や、反発心が消えたように、僕には感じるね。・・・別に僕は彼女の人格をくさしているわけじゃない。問題は「作家」としての彼女だ。どうしてなのかな・・・?。君に、聞こう。あるいは、他の作家でもいいさ。白岩玄とか、朝井リョウとか、そのほかの若手作家。彼らはどうしてすぐに、「お話」を書くんだろう。・・・彼らの作品というのは、僕には、とても安堵しているものにしか見えないんだよ。そこにあるのは文学に対する疑いでもなければ、社会に対する反発心でもなく、ただ与えられた物語を描く作家としての姿だ。与えられたって?・・・・誰に?・・
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