才能のない批評家から、才能ある新人作家への提言/yamadahifumi
きていたとしたら、間違いなく、芥川賞は取れなかったと思うな。・・・芥川は自分の弟子なのに・・・・おかしな、事だね。でも、僕は多分、そんな気がするんだよ。ねえ、君・・・・・聞いてくれ。いや、もう少し、君は現実を、この世界を見るべきだと、僕は思うんだよ。例えば君は、ドストエフスキーを文豪だと見ている。文豪ねえ・・・。そして、その文豪の書いたものをありがたがったり、また、テキスト論だのエクリチュールだの・・・・・・そんな事はどうでもいいんだよ。僕が才能ある若手作家たる君に一つだけ聞きたい事はさ、どうして君の中で『文学』なるものがそんなにも確定した形で、君の頭の中にあるかって事だ。確かに、文学には長い歴史
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)