ねないのだれだ/佐々井
まっくらな枕元で
おばけが顔出し問いかける
お前は嘘だろう?
問いかける
子供は答える
違う、違うよ、嘘だよ、おばけなんかない、おばけなんか嘘さ、いないものだよ
おばけは毎夜あらわれて
それを毎夜繰り返す
毎夜おばけは問いかけて
毎夜子どもに答えさす
おばけなんか嘘さ、おばけなんかないさ、ねぼけた人はあなたじゃないんですか、生きています、そうしてわたしは息をしています、その素晴らしさを知らないのか、なんたることだ
その言葉を最後に子供は
おばけにひかれ
おばけになって
おばけのせかいへとんでいく
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