西瓜の種/服部 剛
 
包丁を、ざっくり押しこんで
西瓜を割る。

無数の黒い種達は
それぞれの姿勢で
つややかに埋まっている。

――どうせぺっぺと吐き棄てられて
  土から芽を出すのでもなかろうに

まあそう冷ややかな目で見ること勿(なか)れ。
彼等は、自らの存在を歓んでいるのだ。

あぁ僕は、一体いつから忘れたろうか?
種一粒のつややかな
命の軽さ、また重さ。  






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