『ひらり』/にかほ あや
 
『ひらり』

泣くことを 許さなかった
わたしは 自分を
「弱いな」って笑った
ここで 思い切って泣いてしまえば
あなたを困らせることが
できたかもしれないのに…
自分を頑に強く見せたがるわたしを
わたしは笑ってしまった
泣けば良いのに
笑ってしまった
ひらりと自分の中で
音がした
それは 泣けなかった代わりに落ちた
私のわがままの音
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