アンチ礼賛/yamadahifumi
、人間には「運命」というものが存在し、それはどうにもならないものだ、という事を手羽先さんは忘れておられると思います。そして、手羽先さんが嫌っておられる太宰治という作家は正に、そういう運命を背負っていた人だと思います。確かに、彼は僕同様ろくでないクズだったかもしれませんが、しかし、彼は一人の人間であろうとその生涯を貫いた人でした。人間というのは、正しさという一般性だけで生きていけるものではありません。他人からどのように見えても、その人にはもがき苦しんでいる何かが、その人の中にあるという事は十分考えられるのです。そして、よくよく考えれば全ての人がそうではないでしょうか。僕は確かに、手羽先さんの言うとお
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