衣替え/
そらの珊瑚
洗いすぎて
ごわりとした
ネルの小さなパジャマ
ふたつめのボタンだけ
なぜか赤い糸で
不器用にくくられている
夜泣きのたびに
私にしがみついた
熱を帯びた袖
黄色いライオンの模様
柔らかだった
起毛の肌触りを
覚えている 私の
手の感傷が
今年も捨てられないと
すがる
もう誰も
必要としていないものだというのに
白い糸をさがす暇さえ
惜しんで
抱きしめているだけで幸福だったよ
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