中野さん/ゴースト(無月野青馬)
 
古本を読む中野さん
手垢の主を想う中野さん
空想する中野さん
罪悪感、既視感、微かな飢餓感と
言葉を失った持ち主の幻影を脳裡に垣間見た中野さん
古本を読む中野さん
何故こんな良本が中古品として売られてしまうのか、何故持ち主と離れ離れになったのかと訝しむ中野さん
別の場所で、別の誰かが、この本と同じ題名の本を読んでいる可能性を想像する中野さん
古本の中の密かな懲罰の痕を感じ取ってしまう中野さん
死者の意思が解るなら良かったと思う中野さん
死者と疎通が出来たなら良かったと思う中野さん
死者と疎通が出来たなら
こんなに黒いマニキュアを好まなかった筈だと思う中野さん
どこまで行っ
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