手向け 最愛を受けた者より/黒ヱ
 
流れてく 菜を冷やした小川の 見えなき終
そんな事を思い出していた この遠い地で
弔いの灯は風に泳ぎ 灰は風に舞う

皆を覆い隠して 空へ
消えた

貴方がくれた 幾千のもの
わたしのために してくれた幾億のこと
そして それらに付随された愛



わたしが最愛だった

貴方が千切落ちたあの日に
喜ぶから 闇雲に集めた甲虫の犇めきを
共に群がる もう戻らない貴方へ

群雨は降る わたしに そして貴方に
貴方は見るのだろう 多岐亡羊を

貴方
「絶景だ」

人として ありたくて
消して届きはしない文を残す
後悔の念 増すばかりで 
笑い方も忘
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