ガル手帳結合の冬/不老産兄弟
 
ぼんやり東京をながめてた
ビルの匂いがした


いろ つや かたち
小瓶をさかさにして
こぼれおちるこげ茶色のおんしょくを
君にたむけて
ピンクの舌でふれる液体
冬の匂い

ぽつぽつと
地面にこぼれおちるその感触に
重力はいろどりを
丁寧に聞かせる

ここにあるのは
始まったばかりの
ようやく動き出したばかりの


遠いところから
はるばるつたえにきた
少量の砂糖も
タバコのようなものも
やがては中枢にのまれ

描かれるのではなく
混ざっていく
雪がみぞれになる要領で
付随する全てを変える要領で

冬が一つ
出来上がる
冬と僕が溶け合い
その後に続くように

言葉でなくとも
よかった
それが
言葉で
あったとしても



『シャリュルクホウテン』
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