色褪せた後日譚/rock
 
色褪せていった

象牙色のセーターにウィスキー・ソーダの弾ける炭酸が
いくつも飛び散っていた
僕は姉を侮辱した言葉を吐いていた
遠くの景色を見るような目で残酷な言葉を残して去ろうとした僕は
姪のルイザによく冷えたウィスキー・ソーダをぶっかけられた

絵描きになった友人は憐れむように僕を笑った
海の向こうでは慰霊祭のために
外国の花を摘んだ小さな帆船が振り子のように揺れていた

まるで蜃気楼だろうと、振り返りながら
彼が言ったとき、陽ざしは額縁のなかにまで入り込み
その太陽のひかりの屈折が新しい絵の具の色になったように彼の絵はきらめいていた

彼が映り込んだ七〇年代のフィルムには
あの黄土色の海と同じ淋しさに満たされていた
すべての花の色を無に帰すような

戻る   Point(1)