花咲かば/Seia
パワーウインドウをおろして
ぱたぱたと灰をまいている
花咲かじいさんは
浅黒い腕しかみえない
パワーウインドウをあげて
その場を去っていった
あとをにごしたものを
私はじっとみつめていた
もしかしたらというおもいで
日が暮れるまでそこにいたかったのに
後方からクラクション
ぬるり押し出されて
仕方なくスロットルを回した
その日からずっと
私のなかで
灰がしんしんと
降り積もっている
いつか芽を出すかもしれない
いつか花を咲かすかもしれないと
くるかどうかもわからない
いつかをしゃがんで待っている
咲かない花をまつよりも
咲いている花へ
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