【HHM2参加作品】「沈黙」を聞き、「いま」を読む ? 縞田みやぎさんの「春に寄せて」/N.K.
ていく、「春に寄せて」の沈黙は、何と豊かなものであるだろうか!
リアリティは統一性など元々なかったのか、自分にとって浮かび上がってきたここ数年のリアリティは「欠片」であり、生の全体のほとんどは、沈黙というダークマターで覆われているように思える。しかし、それは「空にぶちまけられた宝石」のように愛おしく煌めいて、沈黙の豊かさに気づかせてくれるように思う。過去の中にあるいは未来の中に「いま」が混じっていると言うようなベンヤミンの(煌めくような!)時間意識が初めて納得できるような心持ちでいる。これは、最近、自分がインフルエンザB型であることが判明し、処方されたイナビルを服用したための副作用によるのだと、言い切れないところがあると思う。
また今年も春がめぐって来る。「春に寄せて」は、この上ない残酷な四月に、聞かれなければならない「沈黙」であり、読まれねばならない「いま」だと思う。
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