逢瀬を待つ/
凛々椿
逢瀬を待つ
隙間には
悲しみを選んだ欠片の屑
触れたら
傷を負うよ
見えない姿で
聞こえない言葉は
左隅の
冷えた空気を
支配する
逢瀬を待つ
時には
母のない子のように
でも
歌ってみようか
海には母の記憶ばかりが
たゆとうけれど
手紙はね
大事にしているよ
見ることは
もうやめた
逢瀬を待つ
傷を負うよ
触れてはいけないよ
見えない姿で
聞こえない言葉が
左隅に
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