果てしなき鼓動/ハァモニィベル
 
夕闇の部屋 風がカーテンをそよいだ時

その影から 一人の白い女が突然あらわれると

英詩の邦訳は興を削ぐから嫌いなの

そう語りかけて まるで意味あり気に 背中を見せて振り向きざま 消えた

  *

わたしは英国へと女を追った。が、エリオットに会う前に意識が遠くなり

気が付くとフランスにいた それもかなり昔の 黄ばんだ仏蘭西の街に立っていた


最初に、ヴィヨンという人が、『逆説のバラード』をうたってくれた
礼を言って別れると、今度はロンサールが、『死のソネット』でぼくを迎えてくれたが
彼といちばん意気投合したのは、『エレーヌへのソネットーキスしてー』を褒め
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