飛び立とうとしていた/rabbitfighter
 

拭っても拭っても血が止まらない。ただティッシュを赤黒く染めていくだけで、何かほかにやりようがないかと思い、その血で化粧することを思いつくが、部屋には鏡がなく、窓ガラスに映して見ようかと振り向くと窓は開け放たれている。


窓は開け放たれている。風が舞い込んでくる。全ての軽いものがなびき、ふるえ、音を立てる。光はいつも正しい方法で触れようとする。だからすばやく目を閉じて、その光をまぶたの中に閉じ込めようとするが、暗闇だけがそこに残る。


暗闇だけがそこに残る。後味の無い液体。金属の感触が満月を捕捉して満たされない心の風景を露にし、その後に味の無い液体が残る。言葉は乱暴にそれらを説明
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