カレーライスは悲しんでいる/ブルース瀬戸内
 
分に
少しがっかりしてしまうのだ。
分類されてしまう自分の姿を
どうも受け入れられないのだ。

カレーライスは悲しんでいる。
君はそのことを知っているか。
人の物差しと自分の物差しを
ごっちゃにしてしまうことで
何を相対化したらいいのやら
何を絶対化したらいいのやら
前後不覚になるなんてことを
なんとか避けたいものである。

テキストの裏側にある言葉が
力を持つ前に自分を確立せよ。
テキストの表側にある言葉に
自分を縛りつけてはならない。
カレーライスよ、君は深淵だ。
深淵なうえに世界一おいしい。
世界を知らない私が断言する。
カレーライスは世界一である。

カレーライスは悲しんでから
カレーライスはかなり喜んだ。
カレーライスはカレーライス
君はそのことを知っているか。
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