ソクラテスのアイロニー/ハァモニィベル
要務だというのだ。
でも大丈夫だろうか。邪なゴールしか描かない年長者と、少しは苦労した方がいいような年少者の集まりの中で。二律背反の迷妄の陰にいつも潜りこんでいるやっかいな真理を、根気強く連れ出す方法を教えた真の知者に、皮肉な最期を選ばせた癖はなかなか取れまい。
太陽が赤色巨星となり、地球も火星も呑まれるか焼かれるかする数十億年後の未来までには、方舟に乗って皆で太陽系を出なくてはいけないというのに。
今はまだ、クモの糸を取り合うゲームにかまけていても。
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