3月11日/こひもともひこ
 
手助けできるのは一人分でしかない。そこに善悪などが入り込む隙間はありません。

人間にはどうしようもない力と対面したとき、個人の能力などは小魚と変わらぬものでしかありません。今回の大津波に呑まれた場合、どんなに意地になろうが神を呪おうが、そばにいた大切な人を助けられなかった人だっていたはずです。それは悲劇です。そういう悲劇に遭った人がいることがわかったとき、そしてその悲劇が自分の上にも圧し掛かってくることがあると知ったとき、“わたし”はどういう行動をとるべきなのか。

『やらない善よりやる偽善』という考え方は、平時ならば一個人の自由な考え方で済むことですが、そんな自由思想はコップ一杯の水
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