ある日、過疎ってる街にすげー雪が降った/カマキリ
 
までの往復で5台ものそれに協力せざるを得なかった
居酒屋のおっちゃんも自分ちの毛布を犠牲にして
文字通り立ち往生の車を助けていた

近くの定食屋は無料炊き出しを始め、
カーポートは次々と潰れ始め、
救急車が何台も何台も通り過ぎていったところでやっと
私は、アレ?ちょっとヤバイんじゃない?と思い始めたのだ
受験生がシャレになってねえよ、と転んだ友人に手を差し伸べたのが
ちょっとだけ面白かったのは内緒なのだが


だいぶ端折って今日
ある日、過疎ってる街にすげー雪が降ったのを忘れるくらい白い部分がなくなっていた
助け助けられ、知らない人たちと笑いあったのは幻だったのかなと
信号待ちの車の中で考えていた

帰ると、遅くなったけどあの時はありがとう、助かったんだから、と
おばあちゃんが煮物を作って持ってきてくれた

嬉しいのと照れくさいのがもやもやして
ヤマなしオチなしでこれを締め括るのである




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