日比谷公園/
……とある蛙
裁判所の窓から望む
冬の日比谷公園は
昔日の面影そのままに
冬枯れした杜の透き間
レンガ色した公会堂の屋根部分が
遠望できる
公会堂の長い影は
公園の小径を覆い
所々に前夜の白い忘れ物を
天に返さず引き留める。
落葉高木の合間に
常緑樹の杜
一〇〇年このかた
あらゆる喧噪の埒外に
あったわけではない
冬の散歩の似合う杜
都会のブラックホール
盛りのついた都会人の番も
サラリーマンのランチタイム
冬はいない。
戻る
編
削
Point
(10)