もうひとつの童話/ハァモニィベル
 
て接吻したとき、玉手箱から現実が少し漏れてきた
(変だぞ、まだ俺は独身なのに・・・)

その時、人魚姫が王子様を刺して逃走中だというニュースが街に流れた
死後3日が経過し、犯人の足跡はないという
手配写真が、どこか無口な初恋の女に似ているようで
切なさがあぶくのように沸きあがる

あんまり悲惨すぎる世界に これはどうやら
夢らしいなと察知して、眼を開けようとした、その途端、

突然こどもが横の路地から飛び出して、
俺を指差し、「あっ裸だ!裸だ!」と叫んだ(なんて夢なんだ)
おいおい、誤解しないでくれ 勿論これは、
北風と太陽のしわざに決まってる




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