星野屑子の冒険/手乗川文鳥
 






「カスタネットを叩く小さな手が、乾いた音を空間に弾かせて赤と青のあわいにある星を見つけようとする。白眼は青みがかっていて世界中の秘密を引き連れてまだ秘密を作ろうとしている。カーテンの裾に広がるまだら模様の彩光が、知らない街のジオラマになる。きみんちはどこ。」




手渡された箱の中にはなにもないと
はやく教えてもらいたかったのかもしれないし
死ぬまで知りたくなかったかもしれないようなこと、
早く家に帰りたいがために
わたしが君の大事なものを盗んだと
名乗り出た嘘を辿る指が湿り落ちる


かけ離れていく季節の辻褄をあわせるように風が吹き抜
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