赤い銃爪/ハァモニィベル
君がムラサキの太陽を睨んだとき
蒼空を背に 真紅の愛情がいま
胸を裂くほど翼をひろげ
君に向かって翔けている
愛の言葉が幻聴へと歪む
その耳を
翼で抱いて塞ぐためだ
そして
両耳を抱かれた君の
無理矢理 奪われ
蒼ざめた唇はやはり
憎しみの赤へと染まるのだ
力を込めた君の右手が
俺の左腕を爪で引っ掻いたとき
愛を篭めた俺の右手は
君の左胸を熱く拉き掴かんで、
青ざめたままの俺の唇が
そっと毒を 君の真紅の怒りを 吸い出すのだ
愛が掌で痺れるとき 悲しみは頬で腫れ上がる
雲ひとつない蒼空を背に 真紅の愛情がいま
胸を裂くほど翼をひろげて 君に向かって翔けている
荒涼をふりはらうかのように 強く強く 羽撃きつづけて
君に向かって大空を翔けている
その姿はいま ハッキリと君の照準器(アイアンサイト)の中にある
君は 死なないでと念じながら
俺を 永遠に眠らせるために
心昏(こころく)る君自身を 睡らせるために
その赤い爪で トリガーを引っ掻く
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